「悪臭防止法」は、もともと工場などの事業場から発生する悪臭を規制するために、昭和46年(1971年)につくられた法律です。
今では工場の設備が近代化され、環境にも配慮されていますから、工場から悪臭が発生するような問題が起きることはほとんどないでしょう。
しかし、この法律で規制されている臭いの原因物質は、体臭によるスメルハラスメントと無関係ではありません。
この法律では、悪臭の原因とされる物質を「特定悪臭物質」として定め、特定悪臭物質の発生を規制することで、”生活環境を保全し、国民の健康の保護に資する”としています。
「悪臭防止法」で指定されている悪臭物質が「足臭」の原因に!
現在、特定悪臭物質として環境省が指定しているのが、こちらの22種類。
悪臭物質 | におい |
アンモニア | し尿のようなにおい |
メチルメルカプタン | 腐ったたまねぎのようなにおい |
硫化水素 | 腐った卵のようなにおい |
硫化メチル | 腐ったキャベツのようなにおい |
二硫化メチル | 腐ったキャベツのようなにおい |
トリメチルアミン | 腐った魚のようなにおい |
アセトアルデヒド | 刺激的な青ぐさいにおい |
スチレン | 都市ガスのようなにおい |
プロピオン酸 | 刺激的なすっぱいにおい |
ノルマル酪酸 | 汗くさいにおい |
ノルマル吉草酸 | むれたくつ下のようなにおい |
イソ吉草酸 | むれたくつ下のようなにおい |
プロピオンアルデヒド | 刺激的な甘酸っぱい焦げたにおい |
ノルマルブチルアルデヒド | 刺激的な甘酸っぱい焦げたにおい |
イソブチルアルデヒド | 刺激的な甘酸っぱい焦げたにおい |
ノルマルバレルアルデヒド | むせるような甘酸っぱい焦げたにおい |
イソバレルアルデヒド | むせるような甘酸っぱい焦げたにおい |
イソブタノール | 刺激的な発酵したにおい |
酢酸エチル | 刺激的なシンナーのようなにおい |
メチルイソブチルケトン | 刺激的なシンナーのようなにおい |
トルエン | ガソリンのようなにおい |
キシレン | ガソリンのようなにおい |
悪臭物質の名前と、においの特徴を見くらべていただくとわかりますが、体臭、口臭、足臭など、スメルハラスメントの原因となる物質がズラリとならんでいます。
多汗症やわきがなど、体質や遺伝性の原因もありますが、周囲への迷惑を考えると、カラダの清潔を保つなど、ふだんの生活習慣を見直して最低限のケアをするのがマナーといえるでしょう。
とくに強烈なのが、足裏の臭い!
強烈な足臭の原因物質「イソ吉草酸」
足臭の原因物質とされているのが、「イソ吉草酸」。
「悪臭防止法」特定悪臭物質22種のなかにもありますが、むれたくつ下のようなにおいが特徴です。
アンモニアも悪臭の原因の一つですが、イソ吉草酸は、アンモニアの1000分の1の濃度でアンモニアと同等ということですから、その臭いの強烈さがわかります。
コロナの影響で、座敷での宴席もかなり減ったと思いますが、足臭が強い人にとって、靴を脱がなければいけない状況は精神的にもかなりのストレスになります。
ニンニク臭など、時間が経てば鼻が慣れてくるニオイもありますが、イソ吉草酸のニオイはとても強烈で、時間が経てば慣れるというものではありません。
イソ吉草酸は、納豆やチーズにも含まれていますが、足臭のイメージとは重ね合わせたくないですね。
ロート製薬では、20~50代男女の足臭の強さと足汗から採取したニオイ物質の量との相関についての調査をおこなっていますが、「イソ吉草酸アルデヒド」が多いほど足のニオイが強くなるとの結果に。この「イソ吉草酸アルデヒド」も、イソ吉草酸の類縁物質です。
足臭が発生するメカニズム
足臭は、皮脂や角質(タンパク質)、汗などが、靴の中の細菌や皮膚の常在菌によって分解されることで発生します。
とくに足は、カラダの他の部位とくらべ汗腺が多いため発汗量が多くなりますが、靴を履くことで水分が蒸発できないため蒸れやすいことが、足臭の大きな原因になっています。
足臭は、足だけにとどまらず、靴や靴下にも付着しますから、玄関で靴を脱ぐ時や歩いたあとに強烈なニオイを残すことになります。
足臭が強くなりやすい理由
汗腺が多い足は、1日にコップ1杯の発汗量になると言われています。
これだけの量の汗が、密閉された履物の中に放出されているわけですが、立ち仕事や接客の多い仕事では1日中履きっぱなしになるわけですから、足臭ケアには最悪の環境です。
インナーなら、仕事の合間に取り替えることもありますが、靴を履き替える人はほとんどいません。イソ吉草酸を発生させる雑菌にとっては、高音多湿の理想的な環境ということになります。
また、足裏の角質層が厚いことも、足臭のニオイがきつくなる原因になっています。足裏は、外部刺激から内部をまもるため角質層が厚くなっています。
角質層が厚いということは、剥がれ落ちる角質も多いということです。つまり、イソ吉草酸を発生させる雑菌にとってエサが豊富にあるということ。
高音多湿で、イソ吉草酸を発生する雑菌のエサが豊富ということになれば、足臭が強くなるのは当然といえます。
足臭への対策は?
足臭ケアは、まずは高音多湿の環境を改善しなければなりません。そして足を清潔に保ち、できれば発汗量を抑えたいところです。
足臭の原因成分であるイソ吉草酸の臭いをやわらげる成分を配合したデオドラントもありますが、まずは環境改善が最優先です。足臭ケアのためには、つぎのような生活習慣をこころがけましょう。
- 足を毎日洗って清潔を保つ
- 蒸れやすい靴(ブーツなど)を長時間履かない
- 靴を連日で履かない
- 消臭・殺菌効果のあるインソールを敷く
- ストッキングや靴下が湿ったら履きかえる
- ストッキングや靴下をこまめに洗濯する
- 足臭ケアのデオドラントや制汗剤を使う
発汗量は体質によっても違ってきますが、精神的なストレスも、発汗量が多くなる原因の一つです。日ごろからあまりストレスを溜めない生活を心がけましょう。
汗そのものが臭くなることも!
もともと汗そのものは無臭ですが、ストレスや偏った食生活などによって生じる汗には、腸から吸収されたニオイ成分が混じることがあります。
疲労臭ともいわれる「アンモニア臭」も、その一つ。アンモニアも悪臭物質ですから、イソ吉草酸とタッグを組んだら強烈なニオイになりそうなことは容易に想像できます。
デオドラントで足臭をケアする
足臭ケアのためのデオドラントが、多くのメーカーから発売されています。
殺菌効果がある成分、イソ吉草酸への効果が確認されている成分などが配合されているデオドラントのなかから、自分の肌に合うものを探してみてください。
発汗量が多すぎると感じている方は、制汗作用に重点を置いたデオドラントのほうが良いかもしれません。
海外でも人気のデオドラントの一つ、デンマーク製「デトランスα」には、制汗作用が強い「アルミニウムクロリッド」が配合されています。
アルミニウムクロリッドは、医療機関では多汗症の治療にも使われる成分ですが、肌が弱いと痒みなどを生じやすい成分です。肌の弱い日本人では、なかなか使いにくいデオドラントですが、角質層が厚い足裏なら問題ないかもしれません。
【医薬部外品】「デオエースEX(プラス)」は、痒くならないデオドラントとして人気の「デオエース」を、日本人の肌質に合わせて開発した薬用クリームです。
デオエースEX(プラス)には、制汗成分として「クロルヒドロキシアルミニウム」が配合され、制汗×殺菌のW効果が期待できます。クロルヒドロキシアルミニウムは、肌にやさしく痒くならない成分で、敏感肌にも使えるのが特徴です。
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まとめ
強烈な足臭のニオイ成分であるイソ吉草酸は、「悪臭防止法」で指定されている特定悪臭物質のなかでも非常にニオイの強い成分です。
足臭が強いと、他人の家に招かれたときや日本料理店の座敷へあがるときなどに、靴を脱ぐのがためらわれます。なかには、そのようなときには欠席するという方も。
足臭があることが大きなストレスになり、発汗量やニオイ成分が増えることで、臭いが一層強くなる悪循環に。
日常の生活習慣を変えるだけでも、足臭はかなり改善しますが、制汗作用があるデオドラントクリームを使うことで、快適に過ごすことができます。
バッグやポーチに、ストッキングや靴下の替えと一緒に、デオドラントクリームを忍ばせておくと安心です。