もともと無臭!ニンニク臭の原因と対策
ニンニクの臭いに、日本人の鼻もだいぶ慣れてきたようです。
キムチに代表される韓国料理はもちろんですが、イタリア料理、フランス料理など、世界中の料理でニンニクがその味を引き立てています。
とはいえ、ニンニク臭と言われる独特のニオイは、職場やリラックスしたい空間にふさわしいニオイとは言えないでしょう。
じつは、食材のニンニクそのものには、あの特有のニオイはありません。
ニンニク臭の元になるのは、「アリイン」と言って、無臭の物質です。ニンニクの細胞を壊すと、アリイナーゼという酵素が働いて、硫黄化合物である「アリシン」という臭いの原因物質になります。
臭い成分・硫黄化合物について
硫黄化合物とは、硫黄原子を含む有機化合物の総称で、一般的に不快な臭気があり、糖鎖(炭水化物の鎖)や硫黄の化合物を含む生物が成長するときの老廃物、あるいは腐敗するときに自然に生成されます。
卵が腐ったようなニオイのする硫化水素も、この硫黄化合物で、アンモニアガスとともに、腐敗ガスの代表格。
口臭の主な原因として、口内細菌が、食べ物のカスなどのタンパク質を分解するときに発生する「メチルメルカプタン」が挙げられますが、これも硫黄化合物です。
嫌な臭いの原因物質の多くは、硫黄化合物ですが、温泉成分としての硫黄臭で気分がリラックスするのが不思議。硫黄の匂いがしてまっ黒な温泉卵も、スルーできませんね。
ニンニク臭のもとの成分「アリイン」は無臭
スーパーの青果コーナーにならんでいるニンニクは、皮がついたままの状態ではほとんど臭いません。
ニンニク臭は、細胞が壊れることによって、「アリイン」に酵素「アリイナーゼ」がはたらき、臭いの原因となる硫黄化合物「アリシン」に変化することで発生します。
ニンニクを切ると、特有の臭いがするのは、このアリシンが生じたから。擦りおろすと、さらに臭いが強くなります。
ニンニクの臭いに効果効能・メチルアリルトリスルフィド(MATS)とは
ニンニクを切ったときにつくられた臭いの原因物質「アリシン」は、さらに、健康・美容に役立つ物質に変化します。
アリシンは不安定な物資なので、揮発してメチルアリルトリスルフィド(MATS)など(※)になりますが、このMATSには、強い抗酸化作用によって、血栓を防ぐはたらきや肌の老化を防止する働きをがあることが知られています。
このメチルアリルトリスルフィド(MATS)は、ニンニク全体のわずか0.1%の精油のうち、さらにその約10分の1という微量成分。
ニンニク臭そのものが、健康・美容に役立っていることになります。
ちなみに、メチルアリルトリスルフィド(MATS)は、カリフラワーにも含まれています。
ニンニクの効果効能
ニンニク臭そのものにも効果効能がありますが、ニンニクには、ビタミンCやビタミンB6などのビタミン類、ゲルマニウム、亜鉛などのミネラル類が含まれ、つぎのような効果効能があると言われています。
- 免疫力アップ
- 動脈硬化の予防
- 血行の促進
- 冷え性の改善
- 強壮・疲労回復
- 抗菌作用
- コレステロール低下 など
食事のニンニク臭を消すには
ニンニク臭の原因が、硫黄化合物「アリシン」にあることがわかったとしても、食事で摂ったニンニクのニオイ、なんとか消したいですよね。
その対処法は、食前・食中・食後によって違ってきます。
◎食前
- 牛乳を飲む
・牛乳のたんぱく質や脂質が、アリシンを包み込んで臭いの元をおさえます。 - 緑茶の飲む
・緑茶には、消臭・殺菌効果があるカテキンが含まれており、ニンニクの臭いをおさえます。
◎食事中
- チーズを一緒に食べる
・チーズに含まれるたんぱく質が、アリシンを包みこんで臭いを和らげてくれるようです。 - リンゴを食べる
・リンゴをサラダなどで摂るのも効果的。ポリフェノールとカテキンが、にんにく臭をやわらげます。
◎食後
- コーヒーを飲む
・コーヒーに含まれるタンニンには、強い消臭効果があります。さらに、抗酸化作用があるポリフェノールが、アリシンと結びついて、分解・吸収することで臭いをおさえます。 - ウーロン茶を飲む
・ウーロン茶のポリフェノールには、歯垢の沈着を防いで口臭や虫歯を予防する効果がありますが、ニンニク臭の原因物質を取り除く効果があると言われています。 - チョコレートを食べる
・チョコレートに含まれるポリフェノールが、ニンニク臭をおさえます。できれば純度70%以上のハイカカオを。
ニンニク臭は、食べている人は気づきませんが、周りの人にとってはスメハラになることも。
ニンニク臭をうまく抑えながら、ニンニクの栄養素をじょうずに摂ることも食事のエチケットかもしれません。
汗とニンニク臭の関係
ニンニク臭の成分・アリシンが血中に取り込まれると、肺を通して、口中から呼気のニオイとなって排出されます。
血中にとりこまれたアリシンは、汗と一緒に排出されることで、ニンニク臭が翌日以降も残ることになります。
暑い季節に汗はつきものですが、人よりも汗の量が多いと感じたら、ニンニク臭にも気をつけたほうが良いでしょう。
デオドラントクリームをじょうずに使って、汗の量を抑えるのも、ニンニク臭対策には効果的です。