わきが臭は、皮膚のアポクリン腺から分泌する汗が原因ですが、汗そのものに強い臭いがあるわけではありません。
アポクリン腺から出る汗に、エクリン腺からの汗、皮脂腺からの分泌物が混ざり、それを皮膚の常在菌が分解することで、わきが特有の臭いがつくられます。
ジフテロイド菌とは
わきが臭の原因菌のなかでも、とくにわきが体質の人に多く棲みついていると言われる常在菌が、コリネバクテリウム属のジフテロイド菌です。
ジフテロイド菌は、アポクリン腺の脂肪分やタンパク質が大好物で、ジフテロイド菌がこのエサを食べるとワキガの悪臭成分が発生するというメカニズムです。
ジフテロイド菌のほかにも、黄色ブドウ球菌、アクネ菌などが、皮膚常在菌としてニオイの原因をつくりだしています。
皮膚常在菌が産生する臭い
体臭やわきが臭の臭気成分としてよく知られているのが、酢酸、イソ吉草酸、イソ酪酸、トリメチルアミン、ノネナール、カプリン酸、アセトアルデヒド、アンモニア、カプロン酸など。
なかでも、キセロシス菌が作り出すイソ吉草酸は、わきが臭の原因菌とも言われる蒸れた靴下のような不快な臭いが特徴で、汗臭、足臭、加齢臭などの原因になります。
皮膚の常在菌の種類や数は、人それぞれ違いますから、一言でわきが臭といっても、ニオイの質と強さは人によっても変わります。
わき臭の7つのタイプ
男性用化粧品メーカーのマンダムは、日本人男性のわき臭を調べ、7つのタイプに分類しています。
あくまでわき臭全般なので、わきが臭というわけではありませんが、常在菌の構成によってさまざまなニオイがあることがわかります。
M型 | ミルク臭、ベース臭 |
A型 | 酸臭 |
C型 | カレースパイス様臭 |
K型 | カビ臭 |
E型 | 蒸し肉様臭 |
W型 | 生乾き臭 |
F型 | 鉄臭 |
Others | その他 |
調査結果では、もっとも多いのがM型で、43%を占めています。M型、A型、C型、この3タイプを合わせると、日本人男性の約80%が該当するようです。
しかし、なんといっても嫌な臭いは、W型(生乾き臭)でしょうか。
日本人男性の9割が、他人に感じられるわき臭を持っているそうですが、わき臭の強度は10~20歳代で最も高く、30歳代以降は減少する傾向にあるとのこと。
ただし、わき臭は、肥満体型や多汗との相関関係はないそうです。汗の量≠わき臭、安心した方もいらっしゃると思いますが、もちろん汗をそのまま放置すれば、ニオイの原因になりますから要注意!
わきが臭を防ぐ4つの方法
わきが臭を防ぐ方法として、次の4つの方法が考えられます。
- 香料(フレグランス)を使う
・一時的な効果はありますが、かえってニオイがきつくなってしまう可能性もあります。 - 活性炭などで臭いを吸着する
・活性炭やゼオライトなどによって、ニオイを吸着させますが、吸着力には限界があります。 - 酸やアルカリで中和する
・対象となる細菌が限定されるので、多種類の細菌への対応が難しいのが難点です。 - デオドラント(殺菌剤・抗菌剤)を使う
・デオドラントによっては、肌に刺激が強いものもありますが、ニオイの原因菌を殺菌(抗菌)するので、一定時間の効果を得られます。
いずれの方法も、それぞれのメリットがありますが、ジフテロイド菌などの原因菌を殺菌(あるいは増殖を抑える)することができる殺菌(抗菌)効果があるデオドラントを使うのが、もっとも効果的と考えられます。
デオドラント(殺菌剤・抗菌剤)の使い方
デオドラント(殺菌剤・抗菌剤)は、イソ吉草酸を産生するキセロシス菌などのジフテロイド菌について、殺菌したり増殖を抑えるだけではありません。
皮膚の常在菌を、善玉菌を含めて一時的に殺菌(あるいは抗菌)してしまいます。
皮膚の常在菌には、病原菌が皮膚から侵入するのを保護する役割もありますから、デオドラント(殺菌剤・抗菌剤)を毎日使い続けることは避けたほうがいいようです。
皮膚の健康を考えると、3日に1回は休みの日を設けたほうがいいでしょう。
毎日塗らないと不安、という方もいらっしゃると思いますが、小まめに汗を拭いたり、衣類の清潔を保つなど、日常の生活習慣に注意するだけでも、ニオイはかなり和らぎます。
全身に使えるデオドラントであっても、気になる部位だけに使うようにしたほうがいいでしょう。
まとめ
皮膚の常在菌の種類や数は、人それぞれ違っていて、わきが臭の原因と言われるジフテロイド菌は、ニオイが強い人ほどその数が多いと言われます。
わきが臭や体臭にケアするデオドラントは、基本となる殺菌・制汗成分のほかにメーカー独自の成分が配合されており、使用感や効果もそれぞれ違います。
殺菌効果や制汗効果が強いデオドラントが、かならずしもご自身のワキガ・体臭ケアに適しているとは限りません。
まずは、お肌に優しいデオドラントから、試してみることをおすすめします。