家族から”お酒くさい!”、なんて言われた経験ありませんか?翌朝になっても消えないここともありますが、だれでも同じと思ったら大間違い。
お酒臭いニオイが残るのは、遺伝的な体質が関係しているようです。一般的に、ヨーロッパ系やアフリカ系の方はお酒が強い人が多く、日本人は、体質的に弱いと言われます。
お酒に弱い人は、アルコールを短時間で分解できないため、アルコールからつくられたアセトアルデヒドがいつまでも体内に長くとどまり、体臭の原因になるのです。
アセトアルデヒドは毒性が強いため、顔が赤くなったり、頭痛や吐き気などの原因になるだけでなく、食道がんのリスクも高くなりますから、お酒でニオイが残りやすい人は要注意!
アルコールが分解される仕組み
お酒を飲むと、アルコール(エタノール)が胃と腸から吸収され、その大部分が肝臓で処理されます。
肝臓に送られたアルコールは、ADH(アルコール脱水素酵素)によって分解され、アセトアルデヒドになります。
アセトアルデヒドは、さらにALDH(アルデヒド脱水素酵素)によって酢酸に分解され、血流によって全身へめぐり、多くの分解過程を経て水と二酸化炭素に分解されてから、尿や汗となって体外へ排出されます。
アセトアルデヒドを分解するALDHには、いくつかの種類ありますが、重要な役割を果たしているのは2型(ALDH2)で、アセトアルデヒドと強く結合して、アルコールを解毒する働きの大部分をになっています。
2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)とは
2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きが弱いと、アルコールからつくられたアセトアルデヒドが分解されるのに時間がかかるため、血液中にアセトアルデヒドが長時間残ります。
アセトアルデヒドは、毒性が強い物質で、顔が赤くなったり、胸がどきどきしたり、頭痛がしたり、ひどいときには吐き気、嘔吐などの症状を引き起こします。
厚生労働省「e-ヘルスネット」によれば、日本、中国、韓国などの東アジアのひとでは遺伝子の突然変異により、2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きが弱いひとが多くみられるそうです。
二日酔いは、このアセトアルデヒドが原因ですが、分解する能力が低いと救急車で運ばれるなんてことにもなりかねません。ときには、命にかかわることも。
アルコールを分解する能力が低いのは遺伝によるものなので、鍛えたくても、欧米人のようにアルコールに強い体質にはなることはできません。
お酒が強くなるのは別の酵素の働き?
お酒を飲み続けるとある程度強くなりますが、ミクロゾームエタノール酸化系(MEOS)という、アセトアルデヒドを分解する別の酵素の働きによるもの。
2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きが強くなったわけではなく、基本的な体質は変わりません。
ミクロゾームエタノール酸化系(MEOS)は、肝臓の細胞中で増え、飲むのをしばらく止めると減少します。お酒に強くなろうとして飲み続けると、肝臓に負担がかかり、脂肪肝や肝硬変、さらには肝臓がんになるリスクが高くなります。
”お酒くさい!”は要注意
家族から”お酒くさい!”と指摘されても、お酒を飲んだら匂うのが当り前と開きなおる方もいます。
お酒を飲んですぐに顔が赤くなったり、眠くなったりするのは、アセトアルデヒドを分解する酵素・ALDH2の働きが遺伝的に弱いから。お酒くささが残るのも、体質は同じ。
飲み続けているうちに別の酵素がアルコールの分解を助けてくれるようですが、肝臓への負担が大きく将来的に肝硬変や肝臓がんのリスクが高くなることを考えると、早めに生活習慣を変えたほうがいいようです。
”お酒くささ”は、家族の迷惑にもなりますが、二日酔いで残ったお酒の臭いは、職場などではスメハラの原因にもなります。
わきがが気になる方や汗をかきやすい方は、デオドラントクリームなどでケアしながら、お酒の量にも気をつけたほうが良さそうです。